習近平夫妻による現代版文化大革命なのか?
中国芸能界を舞台にした権力闘争の正体。
中国専門ジャーナリスト福島香織が語る「チャイナリスク2017 衝撃の真実」
このコンサートは、中央宣伝部社会主義核心価値観宣伝教育弁公室(社宣弁)、中国国際文化交流センター、中国共産主義青年団中央中華未来の星全国組織委員会、中国歌劇舞劇院が共催となっている。
だが、中央宣伝部側は六日までに香港紙、星島日報の取材に対し、社宣弁なんて組織は存在しない、そのようなコンサートに関知していない、と否定。中国歌劇舞劇院は六日、「〝中央宣伝部社会主義核心価値宣伝教育弁公室〞なるものは虚構で、うその情報を提供されてわが院の信用をだまし取られた」と声明を出した。
一方、56フラワーズ文工団の団長は、メディアに対して、社宣弁についての発言を拒否しつつ「演出に文革宣伝の意図はない」と訴えた。
要するに、誰が企画したイベントなのか、正体不明なのだ。
普通に考えれば、これは権力闘争の文脈で考えるほうが腑に落ちる。というのも、二〇一六年に入ってから中央宣伝部がらみの奇妙な事件が相次いでいるからだ。まず、二月一九日に始まった習近平の「メディアの姓は党」キャンペーン、それを批判する王岐山の親友の不動産王、任志強に対するバッシング、王岐山の中央宣伝部に対するガサ入れと、それに伴う任志強バッシングの停止、俗にいう〝十日文革〞事件があった。すでに第一章で述べたとおりである。
香港のゴシップ誌『内幕』などは、中央宣伝部内部から得た情報をもとに、習近平の中央宣伝部支配に、劉雲山[政治局常務委員、思想宣伝担当]や中央宣伝部長の劉奇葆は抵抗しており、この二人を排除するために中央宣伝部の全面整理を行うつもりでいる、という。